季節の変わり目につらい思いをさせられる花粉症。
春のスギ花粉症は罹患者も多く注目されていますが、秋にはヨモギや雑草類のアレルギー、ハウスダストでは1年中アレルギー性の鼻炎や結膜炎が出る可能性があります。
しつこいくしゃみや鼻水は、風邪ではなくアレルギー性鼻炎かもしれません。
こうしたアレルギーによる花粉症治療についてまとめていきます。
花粉症の注射治療にリスクはない?
①ステロイド注射
②減感作療法(アレルゲン注射)
③抗ヒスタミン注射
花粉症治療に使われる、主な注射はこの3つです。
メリット・デメリットを挙げながら、特徴を見ていきましょう。
① ステロイド注射
・メリット
すぐに効果が表れ、効果が3~4週間持続する。
・デメリット
ステロイド依存症や、他の疾病誘発など副作用が心配される。
② 減感作療法注射(アレルゲン注射)
・メリット
安全性が高く、根治を目指す事が出来る治療方法。
・デメリット
開始すぐに効果を感じにくいが、半年間は毎週注射をする必要がある。
根治まで2~3年定期的に注射を受ける必要がある。
日本では、スギ花粉以外の対応は難しい。
③ 抗ヒスタミン注射
・メリット
化学合成から作られた薬ではないので、ステイロイド薬よりもリスクが低い。
減感作療法よりも少ない回数(6~10回程度)で効果が出る。
・デメリット
この注射で根治が望めないので、シーズン始めに毎回注射を6~10回程度する必要がある。
注意したいのは、ステロイド注射は効果的ではあるけれど、副作用やリスクが大きいと言うことです。
喘息など、命に関わる重い症状の方以外は、選択肢から外した方が良いでしょう。
花粉症治療は何科で相談する?
・鼻水・くしゃみ⇒耳鼻科、耳鼻咽喉科
・のどの違和感、かゆみ⇒耳鼻科、耳鼻咽喉科
・目のかゆみ、涙目⇒眼科
・肌のかゆみを伴う⇒アレルギー科、皮膚科
強く出ている症状に対応してくれる科を選択しましょう。
鼻水・くしゃみが主症状で、目の充血が出ている場合、耳鼻科や耳鼻咽喉科でも点眼薬の処方を受ける事が出来ます。
耳鼻科・耳鼻咽喉科では、アレルギー科を受診科目に入れている病院も多いですから、そういった病院を選ぶと、注射治療の相談もしやすいですね。
花粉症は、免疫を機能させている抗体の量が一定量を越えることで発症します。
花粉症が発症すると、粘膜がアレルギーの原因物質に触れることで、腫れや炎症を起こしてしまいます。
呼吸で花粉を吸い込みやすい鼻・のど、外気にさらされている目は、症状が出やすいのです。
肌のかゆみが出ることもありますが、アレルギーが原因であれば、アレルギーを抑える飲み薬や、塗り薬で軽快します。
注射以外の治療方法と対策
・舌下免疫療法
・手術
・服薬・点鼻・点眼など
根治が可能な方法は『舌下免疫療法』だけです。
減感作療法と同じ仕組みを利用して体を慣らしていく方法ですが、日本ではスギ花粉にしか対応していません。
注射による減感作療法よりも、通院の回数は減らす事が出来、手軽ですが、新薬ですので処方は2週間分までとなっています。
手術は、鼻粘膜のアレルギー反応を起こしている部分をレーザーで焼く方法になります。
日帰りで出来るケースもあり、アレルゲンの種類にかかわらず使える治療方法です。
数年で効果が薄れてしまうのが欠点です。
日常生活に重大な障害にならない程度であれば、花粉の影響を受けないように自衛しつつ、服薬、点鼻、点眼などで症状を抑えるという対応になります。
<おすすめ花粉症対策>
・マスクは日常的につけ、ワイヤーを鼻筋に密着させ、プリーツを広げる付け方をする。
・眼鏡を日常的にかける。
・玄関に入る前に体やアウターをはたき、部屋に花粉を持ち込まない。
・空気清浄機で花粉をキャッチする。
・湿度を高めにすると、花粉やほこりを舞いにくく、粘膜が潤って炎症を抑える事が出来る。
まとめ
○ステロイド注射の即効性に飛びつくのはキケン!
○根治が目指せるのは、減感作療法(注射)と、舌下免疫療法だけ。
○花粉症は耳鼻科・耳鼻咽喉科・眼科・アレルギー科を受診する。
『たった1回の注射で劇的に症状が改善して、しかも3週間ほど効果が持続する』
こんな注射は、ステロイド剤注射ですから、注意が必要です。
ステロイド注射を使った花粉症の治療は、日本耳鼻咽喉科学会、アレルギー学会でも、安易に行うべきではないとしていますから、十分に医師と相談しましょう。
即効性があって、すぐにつらい症状から解放されるケースが多いようですが、副作用のリスクが高い注射として、慎重に考えた方が良いものです。
しかも、根治が望める治療ではなく、3~4週で効果がなくなり、回数を重ねるごとに副作用のリスクも高くなっていきます。
舌下免疫治療のように、簡単で、副作用のない治療方法が、他のアレルゲンでも利用出来るようになると良いですね。