夜になってもなかなか眠れない不眠症の人は少なくありません。
このような症状に悩む人は数多く、日本人の5人に1人はなんらかの不眠症状に悩んでいると言われています。
一方うつ病でも、不眠症になるとよく聞きます。
不眠症とうつ病の違いはどこにあるのでしょうか。
不眠症とは
不眠症は睡眠障害とも言われ、寝付けなかったり、睡眠中に目が覚める中途覚醒という症状が1ヶ月以上続き、日中の活動に支障が出ている状態のことをいいます。
不眠の原因は人それぞれ違いますが、心理的ストレスや不規則な生活による体内時計の乱れ、自律神経のバランスが乱れることでも起こります。
また、痛みや痒み頻尿などの身体的要因や加齢によっても睡眠の量や質が低下します。
うつ病とは
うつ病は、強い抑うつ状態が続き、意欲の低下や集中力の低下、様々な身体症状が出現して日常生活を送るのが困難になる病気で、脳内の神経伝達物質の分泌や機能が低下することで起こると言われています。
うつ病は、人間関係や仕事のトラブルなどの生活環境要因に、慢性的な疲労や病気どの身体的な要因、さらに遺伝的な要因が加わることで、起こります。
うつ病にははっきりとした診断基準があり、決まったいくつかの症状が2週間以上続いた時にうつ病と診断されます。
うつ病と不眠症の関係
うつ病になった人の中で、不眠症の症状が現れるのは8~9割にものぼるといわれています。
不眠症はうつ病の症状の代表的なものですが、うつ病の場合の不眠症は中途覚醒や早期覚醒が見られることが多く、一旦目覚めるとネガティブなことを考えて寝付けなくなるのが特徴です。
ただ、夜眠れなくても、食欲があり、物事への集中力や意欲を失っていないなら、うつ病とは言えません。
あるデータによれば、うつ病と不眠が同時に現れる人は3割、うつ病の後に不眠が現れる人が3割、不眠が先という人が4割という報告もあります。
不眠症=(イコール)うつ病とは限りませんが、うつ病に先立ち不眠の症状があらわれることもあり、不眠はうつ病のサインと捉えることもできます。
また、不眠状態が長く続くと、心身ともに疲労が蓄積され、うつ病を発症する可能性は高くなります。
まとめますと不眠症は心理的なストレスや自律神経の乱れ、加齢などの身体的な要因で起こります。
うつ病では不眠に加えて、集中力や意欲の低下、抑うつ感、食欲の低下が見られ、この点で不眠症とは違います。