『とぎ汁を肥料代わりに作物に与えるといい』と聞きますが、与えすぎは逆効果になります。
植物にとって大切なチッ素分が減ってしまったり、虫が湧くことがあるからです。
とぎ汁を肥料として効果的に使う方法についてまとめていきましょう。
・とぎ汁を直接与えると肥料として良くないワケ
・とぎ汁を肥料にするときのポイント
・まとめ
とぎ汁を直接与えると肥料として良くないワケ
植物の肥料として働く物質には、リン酸、カリ、チッ素があります。
とぎ汁の中に溶け込んでいるヌカの成分にこれらの物質が入っているので、とぎ汁が肥料になるといわれています。
ところが、とぎ汁にはでんぷんが多く含まれているので、直接、頻繁に与えると土に悪影響が出ます。
発酵が土の中で起きると、チッ素を消費して『チッ素飢餓』の状態になってしまうのです。
野菜くずを肥料に、堆肥と混ぜて2週間~4週間発酵させてから使うのもこのためです。
とぎ汁を肥料として使うためには、直接作物の水やりに使うのではなく、ヌカ成分の沈殿物を堆肥に混ぜ込んで発酵したものを使うやり方が良いでしょう。
とぎ汁を肥料にするときのポイント
① とぎ汁がでるたびに作物に直接水やり代わりに与えない。
② 堆肥や土に混ぜ込んで発酵させてから使う
③ 乳酸菌防除液の原料として使う
注意したいのは、直接やり過ぎないことです。
植物が弱って根腐れを起こしたり、白絹病や軟腐病などがでやすくなったり、虫がわきやすくなります。
とぎ汁は、畑の片隅にまいては土をかき混ぜるということを繰り返すか、堆肥作りをしている場所にまいてかき混ぜ、熟成させると肥料として使う事が出来ます。
また、作物の病気を防ぐ『乳酸菌防除』という方法は、乳酸菌発酵させた液を薄めて散布する方法です。
乳酸菌防除に使う原液を、米のとぎ汁と牛乳をペットボトルで発酵させて作ります。
2?ペットボトルに牛乳400CC+米のとぎ汁(1:4)を加えてかき混ぜ、1週間ほど置きます。
4日くらいでヨーグルト状の固形物が浮かびますが、1週間ほどで沈殿しますから、この上澄みを数十倍から1000倍くらいに薄めて使います。
まとめ
○とぎ汁を肥料として効果的に利用するには、発酵させてから使う
○とぎ汁を乳酸菌防除の原液作りに利用すると肥料、防虫、抗菌に役立つ
肥料としてヌカを利用するやり方は知られていますし、ヌカが溶け込んだとぎ汁を使うのは肥料の効果がありそうに思えます。
ところが、水分とでんぷんが多いので、とぎ汁がでるたびに与えていてはチッ素飢餓や根腐れ、虫がわくなどのデメリットが多くなってしまいます。
土と混ぜ込んで発酵させるか、乳酸菌防除液にして活用するのがオススメです。